シンガポール海外研修(令和7年2月4日(火)~8日(土))
「科学的リテラシーの向上」「英語運用への意欲、技術向上」「広い視野を持った国際人としての意識の向上」に結び付くことを期待して5日間にわたる研修を行いました。2年生の理数科38名の生徒が、英語ネイティブの学生や教授に対して1年間かけて研究してきた成果を英語で発表、質疑応答をする機会を得ました。
2月4日(火)1日目 移動日
18時前にチャンギ空港に着きました。時差は約1時間です。気温は28°Cくらいでした。
2月5日(水)2日目午前
SWAT Mobility社による研修
2015年に設立されたMobile Managementを担当する会社です。日本各地の企業・自治体と提携をしています。数学が社会貢献に直接つながることの実例を示していただきました。アルゴリズムがキーワードのようです。生徒たちの声を紹介します。
- 情報テクノロジーを駆使した非物質的な企業形態に衝撃を受けた。時代はここまで進んでいるのか、と、まさに目から鱗の連続だった。
- 自分たちはトラックも労働力も持っていないが、ブレインを持っているといったところがかっこいいと思った。
- それぞれの自治体に適したバスの道順などのアルゴリズムを考えている会社だった。様々なデータを考慮してアルゴリズムを制作する点に驚いた。出雲市へも導入できたら良いと思う。
- 小さなスタートアップ企業でも、こんなに日本のニーズにあっている企業があるんだ、と思いました。彼らはサービスを売るのではなく、技術を売る形をとっていました。
2月5日(水)2日目午後
Swiss Cottage Secondary School(SCSS)での交流
日本でいうなら中学1年生から高校1年生が通う4年制の学校で、熱烈、盛大な歓迎を受けました。マイク1本で両校の生徒約80人を仕切る学生、出雲高校生の持つChromebookの資料をテザリング等してその場の工夫でスクリーンに映し出す学生など、逞しく、頼もしい人財が両校で育っているのを見るのは心地よいものでした。
生徒たちの声を紹介します。
- 私は彼らの積極性に驚いた。彼らは心を開いてどんどん話しかけてくれ、私たちはすぐに打ち解けることができた。推測するに英語をベースとする多民族的な教育を受ける彼らにとって、さまざまな意見をすり合わせるのは日常的なことなのだろう。さらにその過程で、彼らは自分の軸を形成していくのではないだろうか。
- まず衝撃を受けたのは自分たちと同じかそれよりも下の生徒たちがみんなリーダーシップがあったことである。一人ひとりが交流に積極的に参加したり企画していて学校の授業も同様に積極的に受けていることが容易に予想できた。
- 校舎に足を踏み入れてすぐからバスに乗り込んで帰るときまで、大歓迎を受け続け驚きました。あの大歓迎がなければ、初めての場所、現地の生徒たちと比べて慣れない英語での交流に、不安になっていたと思います。たくさん質問してくれたり、聞き返しても嫌な顔をせずに易しい言葉に言い換えてくれたり、そんな姿勢に安心して会話ができました。
2月6日(木)3日目
午前にNational University of Singapore(NUS)シンガポール国立大学、午後にNanyang Technological University(NTU)南洋理工大学というアジアを代表する2つの大学を訪問し、課題研究の発表の場をいただきました。1月の中旬に日本語で成果発表をし、それからシンガポールでの発表に向け、英語での発表の準備に移るという慌ただしいスケジュールでしたが、短期間の中で大きく成長し、堂々と発表しました。またClementi Town Secondary School(医療系の学校です)の3つの発表を聞きました。コロナウィルスについての発表が2つ、癌についての発表が1つ、高度で専門的な発表でした。
生物① 久徴園の植物の香りでカメムシを撃退する
Using Various fragnances from Kyuchoen Garden to drive away stink bugs.
生物② アントシアニンと地球温暖化の関係
The relation between anthocyanin and global warming
地学 日御碕における柱状節理の成立条件
Conditions for formation of prismas basalticos in Hinomisaki
化学① 鉛蓄電池についての研究
Research on lead-acid batteries
~ Why does the EMF duration increase the more it is used? ~
化学② 熱くなりにくいアスファルトの開発
Keeping the road’s temperature at normal with chemical reaction
物理① Scattering of light to create a green sky
物理② 翼の形状と揚力の関係
Relationship between wing shape and lift force
数学 emirpに関する研究
The research of “emirp”
シンガポールの学生たちの研究発表を聞いて印象に残ったこととしては次のような声がありました。
- 研究が高度であること。また、英語での受け答えがシンガポールの学生は普通にできていたため、国際社会で活躍するにはあのレベルの英語ができることが必須であることを知った。
- 彼らの伝える力に感銘を受けた。彼らの中に核となるものがあって、それを伝えたい……というような熱情を見受けた。
- プレゼンテーションの仕方がとても上手いと感じた。また、テーマについてもかなりレベルの高いものばかりで、シンガポールの教育の先進性を感じた。
自分たちのグループの発表に関して気づいたことです。
- 聞き手に対して伝わりやすいように聞き手の方向を向いて発表したり、読むスピードを工夫したりしていた点は良かったと思います。もっと抑揚をつけたり、リズミカルに読んだりできるとより良くなるのではないかと思いました。
- 勢いはとても重要。もうこちらにできることは堂々と熱意を持った発表をして相手の質問を柔らかくする他ない。少なくとも英語においては。
- アドリブを入れながら、「伝える」というよりも「会話する」発表を目指した。相手も興味を持ってくれたようで良かったと思う。質問対応については、質問の意味がわからないときはもう一度分からないところを正確に聞き返すようにするべきだと思った。
2月7日(金)4日目と2月8日(土)5日目
Singapore City Gallery(博物館)、Marina Barrage(貯水池)を訪問しました。お昼はホーカーで自由に取り、チャイナタウンやアラブストリートの散策も楽しみ、多民族国家としてのシンガポールを体感しました。
帰国 羽田―出雲便は雪のため、5便のうち4便が欠航等になる中、我々の乗る便だけは無事ほぼ定刻に出雲空港に着きました。
研修後の生徒のアンケートには「英語学習へのモチベーション向上」、「視野の広がり」、「将来への展望」、「研究発表の改善点」などプラスの記述が非常に多かったです。実り多き研修となりました。