令和4年度 島根県立出雲高等学校 入学式  校長式辞

 穏やかな春光と桜が優しく降り注ぎ、校舎を取り巻く久徴園の木々の新緑が爽やかな風に揺れる、彩り豊かな季節となりました。この佳き日に令和4年度入学式を執り行うにあたり、PTA会長杉浦弘明様のご臨席を賜り入学生への祝福と激励をいただけますことに、高所からではございますが厚くお礼申しあげます。また、コロナ禍にあってもこうして厳粛な式典を挙行できますことに対し、教職員を代表して関係諸氏のご理解とご協力に深く感謝申し上げます。

保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。併せて百有余年の伝統を持つ本校での学びに信頼と期待をもってお子様をお預けいただきますことに深く感謝申し上げます。本校は、高い志を持った多様な生徒が学び合い、高め合う、自主自立の精神に富んだ自治の学園です。お子様にとって、狭隘な人間関係や固定化された価値観が大いに揺さぶられ、化学変化が生じやすい環境にあります。我々教職員は、ここに有効な触媒を加え、豊かで実りある反応を誘発させ、お子様の成長を促していきます。とはいえ「産みの苦しみ」の言葉がある通り、成長過程では悩みや苦しみに直面することも多々あるでしょう。ご家庭におかれましては、お子様を物心両面でしっかりと支え、安心できる居心地のいい、いつでも頼れる場所であり続けていただきたいと思います。そうした温かな家庭と時には厳しくもある学校とが緊密な連携を図り、一つの「ホーム」としてお子様の豊かな学びと育ちをサポートしていきたいと考えます。我々は、お子様が自らの生きる道を切り開いていけるよう、全力で支援してまいります。保護者の皆様におかれましても、本校の教育方針を十分にご理解いただき、ご支援とご協力を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

ただいま入学を許可した313名 の新入生の皆さん、入学おめでとう。皆さんは、本校のかけがえのない生徒であるのはもちろん、未来社会を支える国の宝でもあります。また、今年度から実施される新学習指導要領に則った教育を受けて、学用品として個人端末を所有しつつ授業等で活用していく初めての高校生です。さらに、民法の改正に伴い、高校在学中の18歳になった時点で成人の仲間入りをし、選挙権等の様々な権利を持つことにもなる皆さんです。社会的自立に向けての出発式でもあるこの機に、伝統ある本校を選んだ責任と合格したという誇りをもち、また出雲高校生としての自覚と、それぞれの意志ある希望を実現し社会を担っていくのだという気概をもって、溌剌と、活力ある高校生活を送ってください。

さて、今日は、皆さんを迎えるにあたり、出雲高校生として期待することを2点お話します。

1点目は、本校の基本精神と校歌に込められた思いをしっかりと理解し、確かに学び成長してほしいということです。

本校では、「至誠」を重んじる「久徴の精神」を教育理念として大切にしています。誠実な心と態度を忘れることなく生活することで、内面が充実し、その徴(しるし)、つまり努力の成果や人としての徳目がにじみ出てくることと、私は理解しています。公表済みの出雲高校グランドデザインにも示すとおり、「至誠」をもって教科の授業やSSH事業、キャリア教育や課外活動といった「四つの光」を当てていくことで、社会を生きる上で必要とされる資質・能力である「主体性・協働性・社会性・探究性」の「四性」を磨き高め、自立・協働・挑戦の姿勢を育んでいきたいと思います。そのため、肝心なのは何事にも誠実であること。悩みや迷いがあってもごまかさず誠実さを貫くことが何よりも成長の糧となります。そして、校歌。正義と真実の光に満ちたこの校舎も、平和と友愛の命みなぎるこの園も、皆さんを支えてくれる絶好の環境です。この豊かな環境の中で、集う友垣とともに確かに学び、しっかりと成長を遂げてくれることを心より願っています。

2点目は、「~合い」を大切に、多様な経験を積み重ねてほしいということです。

個人として自然とできることには限りがあります。もちろん全ての活動は最終的に個々の意志や姿勢に帰結しますが、その過程では様々な工夫が可能です。わけても協働的な取組は、新たな気付きや思考の深まりを促し、成長の契機となることも多いものです。縁あって集った仲間達とともに、話し合いや学び合い、支え合いや分かち合い、認め合いや高め合いを、様々な場面で重ねてほしいと思います。授業や探究的な学び、部活動や生徒会活動、国内外の人々との交流活動など、多様な体験のできる本校で、臆することなく果敢に挑戦してください。誰にも等しく挑戦の機会は与えられます。挑戦するか否かは、本人の意志次第です。そして、挑戦の機会を生かし、次につなげていく、つまり体験を経験に昇華させることがさらに大切です。積極果敢に多様な経験を積み重ね、学びの質を高め、成長を促進させてください。また、タブレット端末を活用した授業や家庭学習などの新しい教育も誰もが経験しているわけではない未知の領域への一種の挑戦でもあることから、当事者意識をもって主体的に、かつ協働的に取り組み、師弟、校友ともに高め合っていきましょう。

以上、久徴の精神と校歌に込められた思いを大切に、合いをもって積極果敢に多様な経験を積み重ねて、豊かな学びと成長を遂げる高校生活となるよう期待するとともに、それを教職員一同でしっかりと支えていくことをここに約束し、式辞といたします。                     令和4年4月9日 島根県立出雲高等学校 校長 多々納雄二

令和4年度入学式 校長式辞