夏の暑さが和らぎ、少し肌寒い季節になってきました。
久徴園の草木花も秋の装いに変わってきています。
トウテイラン
( オオバコ科クワガタソウ属 )
Veronica ornata
島根県には隠岐に自生します。海岸に生える多年草で、花の色が中国の洞庭湖のように美しいということから名前が付けられました。茎や葉全体に白い綿毛が密生しているので、白味を帯びているのも特徴的です。ロックガーデンの入口にそっと花を咲かせています。
ゲンノショウコ
( フウロソウ科フウロソウ属 )
Geranium thunbergii
漢字で書くと「現の証拠」。古い時代から下痢止めの薬草として使われ、煎じて飲めばたちまち薬効が現れることからその名前が付いています。日本の草むらや道端に点々と生える身近な多年草です。東日本と西日本で花の色が違うのも特徴的です。また、写真にある種は面白い飛ばし方をします。飛ばした後の形も面白いので観察してみてください。
オケラ
( キク科オケラ属 )
Atractylodes ovata
山菜としても知られるオケラ。漢方では利尿、発汗の薬としても有名です。果実期も、独特な形をした苞葉が残るので、花の散った後も楽しめます。大晦日、京都の八阪神社では、このオケラの根茎を燃やした火を持ち帰り無病息災を願います。東京の五条天神には医薬の神様がまつられており、 2 月の節分にオケラが焚かれ「うけらの神事」が行われます。神事にも古くから使われている日本に馴染み深い植物です。
フジバカマとツマグロヒョウモン
( キク科ヒヨドリバナ属 )
Eupatorium japonicum
フジバカマは「秋の七草」の一つで、万葉の時代から人々に親しまれてきた植物です。古い時代には芳香剤や漢方として有効的に使われてきました。香りの成分はクマリンと呼ばれる成分です。花の色が藤色を帯びることから「藤袴」と呼ばれます。また、フジバカマには「アサギマダラ」という渡り蝶が好んで訪れます。
ショウキズイセン
( ヒガンバナ科リコリス属 )
Lycoris traubii
黄色の彼岸花として多く見られるのは、この「鍾馗水仙」と呼ばれるヒガンバナ科の植物です。赤い彼岸花の近縁種で、花は赤い彼岸花よりやや大きく、花弁がひらひら波打ちます。草全体にアルカロイド系の毒を持つので、口にしてはいけない植物です。