2月の久徴園は粉砂糖を降りかけたような雪景色の庭園から紹介します。
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ユズリハ(ユズリハ科ユズリハ属)
他の樹木が葉を落とすこの時期に、赤い葉柄にひときわ鮮やかに集まってついている葉に目が染みます。春先、新葉が出ると古い葉が落ちることから「譲り葉」の和名があります。子孫繁栄を願う縁起の良い樹木として、正月飾りにも用いられます。関東以西の暖地に生える常緑高木で、5-6月には花びらも萼片もない控えめな花をつけます。ユズリハは、風で花粉を飛ばす風媒花で、虫を誘う必要がないのでこのような花をもっています。専門的になりますが、似たものにヒメユズリハ(久徴園東屋周辺)があります。こちらは、ユズリハよりも葉がやや小さい、萼片がある、葉裏の網状脈が目立つなどに違いがみられます。
ミチノクフクジュソウ(キンポウゲ科フクジュソウ属)
“旧暦の正月の2月頃から咲きはじめ、おめでたい印象の「福告ぐ草」、これが転訛して「福寿草」とよばれています。日本各地に分布、落葉樹林内の日当たりの良い場所を好みます。ほとんどの植物が蜜や花粉をつかって昆虫を集めるのに対し、フクジュソウは暖かさと花粉で昆虫を集めます。というのは、太陽光を非常に集めやすい花の構造をもち、花の中の温度を上げることで昆虫に「暖かさ」を提供します。そのため、日が当たると花が開き、日が陰ると閉じます。さらに、太陽に合わせて花の向きも変わります。蕾に見えても日が当たれば10分程度で花が開くので気長に待つのも楽しいかもしれません。
ミチノクフクジュソウはスプリングエフェメラル(春の妖精)とよばれています。
久徴園の草花2月(2020)